特攻の歴史と義父の想い

 二十歳そこそこで終戦をむかえた義理の父は、終戦末期あまり年の変わらぬ特攻隊員の教官をしていたと聞いている。昨日の地元紙に[特攻の歴史どう教える]という見出しで、教育現場で生徒に特攻についてどう教えるのか、苦悩されてきた教師の方がご自分の取材や調査、取り組みをまとめた書籍を昨年出版されている。亡き父は生前酒が入ると[みんなを逝かせて自分だけが生き残ってしまった。]とよく涙ながらに話していたそうだ。私は特攻隊員の方々の尊厳は守るべきものだが、やはり特攻そのものを美談にしてはならないと思う。過酷な運命を受け入れ国を守る為に散っていった彼らの崇高な思いに敬意を表しても、命を粗末にしたこの悲劇はあくまで過ちとして後世に伝えていくべきだと思う。敗戦という未曾有の事態を前に当時の日本人がどれだけ苦しんだのか、とにかく真実を教えるべきだろう。その上で彼等の人としての尊厳をどんな場面でも決して軽視すべきではないということを言っておきたい。彼等とて平和な時代に生まれてたら私達のようにやりたいことが沢山あった筈なのだから‥